JRA調教師試験を受けるには(受験編)
2019年9月11日(水)、天気は曇り。茨城県稲敷郡美浦村は雨の予報である。
千葉県北西部から美浦村までのルートは、東関道を経由して圏央道に入り稲敷ICまたは阿見東ICで降りるパターンか、常磐道からつくばを回って圏央道に入るパターンのいずれか。
あいにく一週間ほど前に襲った台風15号の影響で千葉の高速道路が不安定な状況になっているという。成田を通る東関道は通行止めの心配がある。
常磐道から入る進路を選んだ。
前回美浦トレーニングセンターを訪れたのは2018年11月7日。この日も水曜日で、トレセン見学に当選したのだった。
その時使った自家用車は都合により使えないので、レンタカーを手配することにした。ガソリン満タンで返却するのも込みで5800円くらい。
朝8時に受け取りに行ったら、マツダのデミオだった。
ナビもオプションで付けたし、久しぶりの長距離ドライブだがなんとかなるだろう。ETCのカードがないのが玉に瑕。
京葉道路を花輪から乗ったが、何故かナビの指示で市川で降ろされる。あとから考えたら、どう考えても新しくできた外環道路で三郷から常磐道に抜けるのが早かった。
市川から下道を延々走らされて、市川真間〜矢切〜三郷南の川沿いの下道を歩行者や信号に注意しながら走る。
これはとても神経をすり減らすことになる。
三郷南から高速に乗れた時はホッとした。
既に1時間が経過して9:00過ぎである。
ここからは順調で、途中9:20ごろに守谷サービスエリアで降りて休憩を取ったが、排尿にも支障なし。
試験を控えた前週に見舞われたアクシデントについては(こちら http://computer-life.net/heart_body/nyoi1/)を参照されたい。
何事も、予定通りに進まないのが人生だ。
休憩もそこそこに高速に戻り車を飛ばす。
デミオの乗り心地はコンパクトカーの中では群を抜いて最高。
10:00には阿見東ICを降りて阿見プレミアムアウトレット、ライトウインズ阿見に到着。
高速料金は、350円+1020円+1690円だったかな。
ここから美浦トレーニングセンターまでは車で13分である。
腹ごしらえと最後の勉強をしようとフードコートへ。
腹はほとんど減ってないのでケーキとコーヒーのセット700円を頼み、がらんとしたフードコートで最後の追い込みをかける。
11:00過ぎにはアウトレットを出発、少し雨が降り出していた。
11:23 美浦トレーニングセンター到着。
30分ほど余裕があるが、外はそこそこ雨が降ってきていたので車で待機。
11:50に事務棟3階に向かう。
待合室には数十名の28歳以上の男達がひしめき合っていた。女性は一人も、いない。
みんな判で押したように襟のあるシャツにスラックス。
喫煙所の横に、憧れの蛯名騎手は一人佇んでいた。
格好が皆同じなのと、緊張していた事もあり最初は本人だと分からなかった。
12:00、受付が始まる。
一応、審判部免許課から送付された試験案内の紙は持ってきたものの、特に所持を確認される事なく、名前だけ告げて受験票を貰う。
この時、JRA職員から「館内は撮影禁止なのでよろしくお願いします」と釘を刺される。
一般(競馬関係者ではない)という情報は伝わっているようだった。
試験会場では勉強禁止なので、皆ギリギリまで待合室でスマホを眺めたり参考書を見たりノートを見たりしている。
とにかく、この試験は暗記の試験。
何をどれだけ覚えているかで素点が決まる試験なのである。
試験会場は、長机が3列、2人がけ、たぶん25個並んでいたと思う。
私は真ん中の前から3つめくらいの席だった。
試験のタイムテーブルは以下の通り。
12:30〜13:30 競馬関係法規及び労働法
13:30〜13:45 休憩
13:45〜14:45 調教に関する専門知識
14:45〜15:00 休憩
15:00〜16:00 馬学、衛生学、運動生理学、装蹄、飼養管理、競馬に関する専門知識
1時間×3本の長丁場、だがIPA(情報処理技術者試験)に比べれば午前、午後(3時間)みっちりとかではないので集中力は続くだろう。
最初の1時間で出題されるのは大問にして5問。
競馬法、競馬施行規程、競馬番組一般事項、労働法。殆どが記述式の問題である。
試験が開始され、問題用紙を見てほぼ絶望した。
大問1は、騎手、調教師免許に関する問題だった。
いきなり2019年度の新規調教師、騎手は何名だったか、という問いで出鼻を挫かれる。
覚えてねーよ!というか、その知識必要か??
ここは勘で調教師15名、騎手8名と書く。(正解は6名、8名で半分合ってた)
調教師免許交付日が3月1日から1月1日になったのは何故か、これも全くわからない。
ただ、傾向として間違いなく言えるのは毎年変化する内容について、問われる事。
「変わった事は何だったのか?」を抑えるとある程度ヤマは張れるな、と思った。
案の定、女性騎手の減量については4つのレースの具体事例を挙げて斤量そのものを答えさせる問題だった。
しかし、時間がない。
大問1を書き終えた時点で30分経過していた。
残り4問を30分で解かなければらない。
最後の労働法に到達した時は残り5分。
数字だけをばばっと書いて終わった。
改めて、合格基準の点数を記すと、
100点満点×3
合計180点以上で合格
ただし3つの試験においてそれぞれ40点以上づつの得点が必要。
そうすると、なんとかなりそうな最初の試験で80点、次の調教は40点、最後の馬学衛生学競馬クイズで50点、これでも合計で170点…足りない。
80
45
55
これが理想形。
しかしいきなり最初の問題で8割は厳しいと感じた。取れて5割だろう…
残りの大問2〜4についてはあんまり覚えていない。いずれ美浦トレーニングセンターの総務課でコピーをもらえるだろう。
最初の試験の休憩に入る時に受験生からドッと疲れの声が漏れる。
トイレではタイムオーバーの時間に関してあーでもないこーでもないと答え合わせが始まった。
おれ1:22:0て書いたけど、1:23:9とかそんな半端な数字が聞こえてきて、絶望は上塗りされるのであった。
禁止薬物の問題もあったかな。自然界で検出されるやつ4つ書けとかそういう問題だった。
バカのひとつ覚えでリドカインと書いた。
休憩時間、
ブドウ糖の供給のためにラムネを齧る。
次は薄い知識の分野になる調教技術。
事前にハミの種類の復習はしていたけど…
いきなり手綱と馬の進行方向を矢印で書かせる問題。全くわからないので勘で書く。
馬の悪癖に関する問題では、過去問で蹴癖について出ていたので覚えていたが、噛癖と熊癖についての出題。
熊癖ってなんだよー?ゴールドシップ?立ち上がるの?
調教技術に関しても過去問で得た知識は活かせずじまい。ただし、空欄は作らないように文字は書いた。
2回目の休憩。
休憩に入るたびに嘆息が漏れる。
最後は最も不得手な(これまでも満足に得点できてないというのに)馬学、衛生学。
いきなり疝痛の種類を6つ書け、その原因も、
と言われて面食らった。
分からない…
正解は風気疝、便秘疝、過食疝、痙攣疝、変位疝、寄生疝。
書くことがなくて、腸捻転と腸閉塞と書いた。
あとは馬の小腸に関する内容。
試験が終わって検索したら丸々JRAの人が書いたPDFが出てきた。
新規調教師を目指す騎手、調教助手向けに講習会などを実施していると聞くので、その資料なのだろう。
(参考)http://company.jra.jp/bajikouen/health/sentu.pdf
最後はお楽しみの競馬クイズ。
2019桜花賞の勝ち馬、
オーストラリアの女傑を書かせる問題。
これは貰った。
しかしそのあとの、WINXの連勝記録はいくつか?というのと最終的なレーティングの数値は?
というのは11連勝、132と書いてドボン。
33連勝もしているとは思わなかった。
血統表は、2014年のレーティング1位になった日本馬。これはよくよく考えれば新種牡馬のジャスタウェイなんだけど、
①父、②父の母、③母名を答えなければならず、
エピファネイアと誤認識しながら父ハーツクライと父の母アイリッシュダンスは書けた。(これは、父父がサンデーサイレンス、父の母の父がトニービンだったから分かった)
母名はジャスタウェイと知っていても書けなかったので思いっきりシーザリオと書いてしまった。
16:00 試験終了。
とにかく疲れた。脳味噌酸欠。
雨が降りしきるなか、また安全運転で帰らなければならない。
試験会場を出る手前で蛯名さんの姿が見えた。
全て出し切ったといった表情のように見えた。
あまりジロジロ見るのは失礼なので、足早に立ち去った。同じ試験会場で同じ雰囲気の下、脳内の知識をぶちまける取り組みを行えたという、気持ちの上での満足感は、あった。
蛯名さんにはぜひ合格してほしい。
騎手でなくなるのは淋しいけれども。
帰りの道は混雑もなく、雨は降っていたものの圏央道から常磐道、そしてしっかりと三郷から外環、新しくできた高谷JCを通って谷津船橋で降りて、17:40くらいかな、事故にも煽り運転にも遭うことなく無事に帰って来れた。
帰りの高速代は1860円+620円+340円=2830円なり。
レンタカーを返して、セブンでビール買おうと信号待ちしていたら息子がいた。
鍵を持たずに学校行って、母親が帰宅してないから家に入れないと言う。
そっかー、じゃあ何でも好きなもん買いな、父ちゃん払ったるから。
2週間ぶりくらいに親子の会話を交わし、とーちゃんな、今日車乗って試験行ったんよ、と話を続けた。
何の試験かは言わず、また、息子はそれを聞こうともせずに、へー、遠いところで受けたんだね、と云った。
初めての挑戦は終わった。試験の結果は10月10日の合格発表を待つまでもないだろう。
しかし、実際に勉強を始めてみて初めて知ることも多く、競馬に対する関心を深めるいい機会になったと思う。
万人にお勧めする資格試験ではないが、特に女性の方は受験者が(少なくとも美浦では)見当たらなかった。
調教師界の菜七子を目指すなら今がチャンスだろう。とにもかくにも競馬社会は男社会。
こんな環境の中で活躍している菜七子ジョッキーはすごいなと改めて思うなどした。
第一次試験の合格発表は受験番号で行われる。受験番号を載せることは差し控えておくが、合否の結果はちゃんと報告する。
来年また、受けるか?
といわれると、、、、
【受験にかかった経費】
・健康診断受診料 11,000円
・住民票記載事項証明書 350円
・証明写真 600円
・審判部免許課への封書送付+返信用切手代+出願書送付簡易書留通信料 82円+140円+450円=672円
・レンタカー代金 5,800円
・高速道路通行料金(往路) 350円+1,020円+1690円=3,060円
・高速道路通行料金(復路) 1860円+620円+340円=2,830円
合計 24,312円
貴重な経験ではあったが、よっぽどのことが無いと回収できない(笑)
来年は受けないだろうなあ。
おわり